【物語】翻訳家のDさん
数日後、ランチをしながらお話を伺うことになった。
「はじめまして」
メールでなんとなくお話は知っていたが実際に会って話すとまた違う。
文章ではクールな印象だったが話すととても熱い人だった。
驚いたことに数年前までは英語は殆んどできなかったらしい。
だが一念発起して英語漬けの日々を送り今に至ったとのこと。
私は一念発起の理由を聞いた。
「何故そんなに集中できたのですか?」私は質問した。
Dさんは話してくれた。
「今まではなんとなく周りに流されて生きてきたから、それを変えたくなったんです。英語は昔から興味はあったけれど、だからと言って本気でやるわけでもない。
本気で向かい合わずに、いつかできるようになりたいなぁと、思うだけの日々。
そんな時にふと、気づいてしまったんです。
できないのではなく、やらないだけでは?
だって、日本語も気づいたら話せるようになっている。言語に才能なんて関係ないのではと。英語圏で暮らしていたら英語を話すのは当たり前ですから。
もう自分の気持ちから逃げるのはやめようと決めたんです。それからは人が変わりましたね。笑」
そう言って笑うDさんの笑顔に私もつられて笑ってしまった。
思い当たる節がある。笑。
いろいろ話した後にやっと本題の絵についての話になった。
※この物語はフィクションです。
0コメント